新しい仲間と新しい自分。女の子が男の子になりすます物語の行方──。
ベルリン国際映画祭テディ賞審査員特別賞ほか、様々な映画祭で高い評価を得た映画『トムボーイ』が9月17日(金)より全国公開。
主人公のロール/ミカエルに寄り添った目線とユーモアによって、ひと夏の挑戦が描かれる。自分らしく生きるためのヒントがたくさん詰まった名作をぜひ、劇場で。
引っ越しを機に、夏休みの間、家族に内緒で男の子としての生活を始めた10歳のミカエル(ロール)。短くした髪、まだ成熟していない胸、活発な性格。
男の子同士でサッカーをしたり、海パンの股間に粘土を詰めて仲間と馴染もうとする。
幼い妹はロールのことを理解していて、周りにロールを「兄(ミカエル)」だと説明している。
そのため、周りの子どもたちはみな、ミカエルが普通の男の子だと信じ、ミカエルに恋心を抱く少女リザとの関係も深まっていく。
しかし、この映画で描いているのは「自分は本当は男なんだ」とはっきり確信している「トランスセクシュアル」の物語ではない。
当のミカエルは男の子っぽい自分に素直なだけで、鏡に映る、これから女性へと変化していく予兆のある自分の体を不思議そうに感じても、否定はしていない。
これからロールがどう生きていくのか、その答えを見つける前のエピソードを描いているに過ぎない。
だからこそ、思春期にかっこいい同性の先輩に憧れたとか、男らしくしなさい、女らしくしなさいという固定観念に違和感を感じた人であれば、LGBTとかストレート関係なく共感できると思う。
タイトルになっているトムボーイの意味、ミカエル(ロール)とリザの恋の行方、物語がどんな結末を迎えるのか。そのあたりも含めて、劇場で思春期の揺らぎを再体験してみてほしい。
◆トムボーイ/Tomboy
2021年9月17日(金)より、新宿シネマカリテ他ロードショー
http://www.finefilms.co.jp/tomboy/
ストーリー/夏休み、家族と共に新しい街に引っ越してきた10歳のロール。引っ越し先で「ミカエル」と名乗り、新たに知り合ったリザたちに自分を男の子だと思い込ませることに成功する。やがてリザとは2人きりでも遊ぶようになり、ミカエルとしての自分に好意を抱かれていることに葛藤しつつも、お互いに距離を縮めていく。しかし、もうすぐ新学期。夏の終わりはすぐそこまで近づいているのだった…。
配給/ファインフィルムズ
2011/フランス/フランス語/82分/PG12
© Hold-Up Films & Productions/ Lilies Films / Arte France Cinéma 2011
記事制作/みさおはるき(newTOKYO)