
日本のプライド運動、その“はじまり”を記録する
日本で初めてプライドパレードを実現させた活動家・南定四郎の半生を追ったドキュメンタリー映画『熱狂をこえて』が公開される。6月5日(金)よりシネマート新宿にて先行公開、6月26日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国で順次上映が予定されている。
本作は、1994年に日本初のプライドパレードを実現させたゲイの活動家・南定四郎の歩みを、4年に渡って記録したドキュメンタリーだ。

現在、日本では40か所以上でプライドパレードが開催され、パートナーシップ制度も全国へと広がりつつある。LGBTQIA+当事者の権利をめぐる動きは、社会の中に少しずつ根づいてきた。その出発点にあったのが、ゼロから道を切り拓いてきた個人の活動だった。
90歳を超えた今も生きる南定四郎も、そのひとりである。1980年代のゲイ解放運動やエイズ・アクション、そして1994年のプライドパレードの実現。本作はその軌跡をたどりながら、日本のプライド運動の原点を浮かび上がらせていく。
監督は、ドキュメンタリー映画『沖縄カミングアウト物語』を手がけた松岡弘明。自身のテーマでもある「カミングアウト」を軸に、本作ではひとりの先駆者の人生を通して、コミュニティの歴史を見つめ直している。

ひとりの人生に刻まれた、マイノリティとしての選択
秋田から上京し、自分の居場所を探し続けた南氏は、40代でゲイ雑誌『アドン』を創刊。「好きなことで生きる」ことを選び、やがて海外のムーブメントに影響を受けながら、ゲイ解放運動へと身を投じていく。
その生き方は、単なる運動の記録にとどまらない。自分らしく生きることを模索し続ける姿は、いまを生きる多くの人にも重なるものがある。

理想と孤立、その間で揺れた運動の現実
60代で日本初のプライドパレードを立ち上げた南氏。しかし、回を重ねるごとに運営は次第に独自の方向へと傾き、周囲との関係に亀裂が生じていく。やがて大きな反発を招き、南氏は運動の第一線から退くこととなった。理想から始まった活動が、なぜ揺らぎ、分断へと向かったのか。本作は、その過程を当事者の証言とともに描き出す。
当時のプライド運動は、社会背景の影響もありゲイコミュニティ主導で進められ、レズビアンコミュニティとの連携が十分に取れていなかった側面もあった。そうした分断の歴史もまた、現在のコミュニティのあり方を考えるうえで無視できない要素となっている。

「熱狂」の先に残るもの
ドキュメンタリー映画『熱狂をこえて』は、ひとりの人生を追いながら、日本のプライド運動のはじまりと、その光と影を記録する作品だ。いま当たり前のように存在するプライドパレード。その裏側には、理想を掲げ、時に孤立しながらも道を切り拓いてきた人たちの存在があった。
その歩みを知ることは、これからのコミュニティや社会のあり方を考えるヒントにもなるはずだ。過去と現在をつなぐ一本として、ぜひ劇場で体感してみてはいかがだろうか。
■ドキュメンタリー映画:熱狂をこえて
2026年6月5日(金)よりシネマート新宿にて先行公開、6月26日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
https://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/
https://www.uplink.co.jp/
ストーリー/1931年、樺太で生まれた南定四郎。22歳で上京し、自分らしい生き方を模索し続けた。1984年、ゲイ解放運動を開始。活動に没頭するなかで、その熱意は次第に彼自身をも突き動かしていく。そして1994年、日本初のプライドパレードを開催する。しかし回を重ねるにつれ、運営は独善的なものへと変化。第3回パレードでは大きな反発を受け、南氏は運動の第一線から退くこととなる。時代に翻弄されながらも、正義に突き動かされ、熱狂のなかを駆け抜けた半生。熱狂をこえた先に、南氏は何を見つけたのか。本人の証言に加え、当時の関係者のインタビュー、報道資料、写真、映像をもとに、その激動の軌跡をたどる。ひとりの人生を通して描かれる、日本のプライド運動のはじまりの物語。
監督・撮影・編集:松岡弘明
キャスト:南定四郎/大塚隆史/久里須/砂川秀樹/永野靖/小倉東/根岸昌功/大江千束/ブルボンヌ/小川チガ/大矢晃世/石野さちこ/鈴木賢/山縣真矢/山田なつみ/杉山文野/Bill Schiller
製作:カミハグプロダクション株式会社 ©カミハグプロダクション
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記事制作/newTOKYO









