
世界20都市以上を巡回し、第79回ヴェネチア国際映画祭への選出や、2021年モントリオール・ニューシネマ国際映画祭での「PANORAMA VR PRIZE」受賞など、世界中で喝采を浴びているVR映像作品『霧中 – イン・ザ・ミスト』。
昨年、横浜国際舞台芸術ミーティング(YPAM)での日本初上映の際にも凄まじい反響を呼んだ本作が、今度はゲイ・クィアアートとの出会いを提供する独立系書店のboundary booksという親密な空間で、期間限定の完全予約制にて上映される。
蒸気の中に浮かび上がる「愛なき愛」を覗きみる
HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着した瞬間、視界は薄暗く霧の立ち込めた「ゲイサウナ」の風景に包まれる。
白く濃い蒸気に包まれた部屋の中で、ぼんやり浮かび上がる男たちの肉体。彼ら(もう”僕ら”といった方がいいかもしれない)はそこで、言葉を交わすことなく、ただ互いの欲望と孤独を交差させていく。そこに没入することで、誰かをまなざし、また同時にまなざされるという、奇妙で濃厚な主客の逆転を体験することができるというのだ。
肉体の交わりの先にあるものは、周監督が「愛なき愛」と表現する刹那的で、しかしどうしようもなく純粋な他者との交錯だという。そんな本作は、流動的な欲望をデジタル没入体験へと昇華させた「霧中三部作」の記念すべき第一部にあたる。

鬼才・周東彥と世界を魅了する「Very Theatre」
周東彥は、新しいメディアを用いて「物語体験の新しい可能性」を探求し続ける、現代XRシーンのトップランナーである。過去にも『空的記憶 Emptied Memories』で「World Stage Design Award(2013年)」を受賞するなど、舞台芸術と映像の境界線を揺るがし続けてきてる。
彼らの勢いは本作に留まることなく、VR作品『霧を抜けて』(2023)は第77回カンヌ映画祭に選出され、「NewImages Festival」でグランプリを受賞。さらに最新のXRプロジェクト『フリーユアヘッド~脳を解放しよう』も第81回ヴェネチア国際映画祭に選出されるなど、国際的な評価は確固たるものとなった。

今回のboundary booksでの上映は、6月から8月までの不定期、夜間限定(18:00~22:00)で行われる予定だ。さらに、7月18日・19日には、男体美術の祭典「TOKYO MALE ART FAIR」の会場内での特別上映が決定。
あの書店空間が、夜の時間帯にゲイサウナの蒸気とシンクロすることは、これ以上ないほど贅沢でクィアな体験となるはずだ。見逃すことのないようにチェックしておきたい。
◾️ “In the Mist” Screenings in Tokyo – 2026
会場:boundary book(新宿区新宿7-2-1 学友社ビルt1階)
料金:¥2,000(完全予約制)
https://book.squareup.com/appointments/yt17s9jfyve9fv/location/LDFRMBSCC3YZ0/services
※本作品は18歳未満の方はご鑑賞いただけません。
素材提供/boundary books
記事制作/newTOKYO









