最新のHIV予防法知ってる?「自分に合った方法でいい」コンビネーション予防キャンペーンが伝えたいこと。

新宿二丁目のコミュニティセンターakta(特定非営利活動法人akta)が展開しているHIV予防キャンペーン「my choice, my safer/セーファーセックスの選択肢は、ひとつじゃない。」。
YouTubeで公開された3本のショートドラマを軸に、予防の選択肢を日常の物語として描く試みだ。

今回は、aktaの理事長を務める岩橋恒太さんに、このキャンペーンに込めた思いや、いま伝えたいメッセージを聞いた。

――今回のキャンペーンでは、「コンビネーション予防」をテーマにしていますが、具体的にはどのような予防法なのでしょうか?

今回のキャンペーン「my choice, my safer/セーファーセックスの選択肢は、ひとつじゃない。」では、いろんな予防の選択肢があることを知ってほしい、というのが一番です。そのひとつに、「コンビネーション予防(Combination Prevention)」というメッセージを発信しています。

コンドームを使えない人、使いたくない人、使いたくても難しい状況の人もいますよね。もし予防の方法がコンドームしかないとなると、使えない人が社会的に追い詰められてしまう可能性があるんです。何か悪いことをしているように感じてしまう。でも、本来そういう話ではないはずなんです。

だから「使える予防の方法を増やしましょう」という考え方で、ひとつの方法に頼るのではなく、複数の予防法を組み合わせて考えるアプローチなんです。

今回提示している主な選択肢は、
⚫︎コンドームを使う方法
HIVだけでなく、梅毒など他の性感染症(STI)も防げる、もっとも基本的で身近な予防方法。 
⚫︎PrEP(予防薬)を使う方法
HIV陰性の人があらかじめ抗HIV薬を服用することで、感染を未然に防ぐ予防法。
⚫︎U=U(ユー・イコール・ユー)
HIV陽性者が治療を継続し、ウイルス量が検出限界未満であれば、性交渉で他者に感染しないという科学的事実です。つまり、早めに検査して治療を続けること自体が予防にもつながる、という考え方です。

これらを「正解・不正解」で分けるのではなく、個人の状況に合わせて選べる環境をつくることが、日本でHIV流行を終結させるための重要な鍵になると思っています。

――「組み合わせて選ぶ」HIV予防の考え方だけでなく、検査の重要性も強調されていますね。

どの方法を選ぶにしても、スタートラインとして検査が大事になってきます。
ただ、単に「検査に行きましょう」と言うだけでは不十分だとも思っています。なぜ検査に行けないのか、を考える必要があります。

セクシュアルマイノリティであることで医療機関に行きづらい人もいるかもしれない。陽性と分かったらどんな扱いを受けるのか分からないという不安もある。セックスワークに従事している場合、偏見を受けるかもしれないと感じる人もいます。社会の偏見や仕組みそのものに向き合うことと、学べる機会を増やすことは、セットで必要だと思っています。

また、今ではPrEPという選択肢があるからこそ、コンドームは不要になるのではなく、その価値も見直されます。PrEPはHIVを防げますが、他の性感染症は防げません。コンドームはどこでも手に入って価格も安く、ハードルが低い方法です。

だから、どれか一つではなく「自分に都合のいいものを組み合わせて使う」ことが大事だと思っています。

――今回、3つのショートドラマという形にしたのはなぜですか?

⚫︎コンドームを使う選択
はじめての出会いの中で、誰でもすぐに始められる予防としての安心感や普遍的な価値を描く。
⚫︎PrEPを習慣にする選択
服薬と定期検査を生活の一部に取り入れ、自分自身の意思でセクシュアルヘルスを管理する姿が映し出される。
⚫︎U=Uを日常にする選択
治療を継続することで「感染が起こらない状態」を保ち、パートナーと穏やかな日常を重ねていく関係性が描かれる。

難しい内容を“知識”としてではなく、日常のこととして考えてほしかったからです。
出演者の経験が投影されたリアルな日常を描いていますし、HIV陽性者当事者が顔出しで参加しているのも大きなポイントです。

自分ごととして感じてもらえる作品になっていると思います。ぜひ、動画とキャンペーンサイトをチェックして、自身が実践できる予防方法を選んでみてください。

なお今回のキャンペーンでは、新宿二丁目の仲通り交差点にビルボード広告が、3月中旬頃まで掲出され、ドラマのストーリーをもとにしたミニブックや、3種類のカバーのコンドームも配布されている。新宿二丁目の各バーやクラブ、akta、保健所や医療機関などで手に取ることができる。

セーファーセックスの選択肢はひとつじゃない。
自分に合った方法を知り、選べること――そして、まず検査を知ること。「my choice, my safer」という言葉は、その入り口をそっと示しているのかもしれない。


コンビネーション予防キャンペーン/my choice, my safer セーファーセックスの選択肢は、ひとつじゃない。
https://akta.jp/choice

取材協力/特定⾮営利活動法⼈akta・岩橋恒太
撮影/EISUKE
記事制作/newTOKYO

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