デビュー曲『万博ササニシキ』が大ヒットをきっかけに名曲を次々と歌い上げ、名実ともに演歌界のトップに君臨している、“友近さんと異常に近しい間柄の”水谷千重子さんが、2019年、50周年を記念し初座長を務めた明治座公演は、劇場とその周辺が夢か現かのパラレルワールドになってしまったと話題になりました。
それから2年。再び明治座にて50周年記念公演を行うことに。さらに今年は福岡、博多座でも初公演が決定! 一部はドタバタ笑歌劇『神社にラブソングを』というどこかで聞いたようなタイトルのお芝居。そして二部は歌のステージ『千重子オンステージ』と盛りだくさん。
今回は水谷千重子さんに2年ぶりの座長公演についての思いをお聞きしました。
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ーー昨年のコロナ禍では水谷さんはどんなことをして過ごしておられました?
SNSって言うんだっけ、その中のインスタグラムやYoutubeに力を注いでました。千重子もインスタグラマー、Youtuberデビューしちゃいました!
ピアニストの清塚の信也ちゃんや、スターダストレビューの根本の要ちゃん、ナオトのインティライミちゃんとかにお声がけして、映像をくっつけて、ジョインみたいな形で、歌ったりとかね、してました。ありがたくも10万人以上、フォロワーちゃんが増えて、嬉しかったですね。ジョインしてくれたアーティストさん、千重子もそうだけど共通してるのがライブを大事にしてるのね、そしてみんな正義感が強いの!しかもお金じゃなく、一緒になって楽しいことやって喜んでもらいたいって思いが強い人たちで、やってて楽しかった。本当はリサイタルでご一緒できればいいんだけど、その日が来るまではまたジョインしたいなって。
ーーまた見れば元気でご陽気になるリサイタルも期待してますが、今回は2年ぶりの明治座で座長公演です。
そうですね、またあの舞台に立てるこというのは嬉しいわけですよ。前回、初の座長公演として2週間やらせていただいたんですけど、内心不安だったのね。そりゃ1400人入る劇場、もしお客様来なかったらどうしようって。しかも50周年記念公演ですから。だけど初日を迎えてから千秋楽まで嬉しいことに、連日満員のお客様で・・・。だから千重子も明治座さんでの公演を一回では終わりたくないなと思っていたのでまた公演させていただけるの、本当に嬉しいですね。
ーーひとつ疑問なんですが、前回の座長公演、50周年記念公演でしたが、今回も50周年公演と書かれていますが・・・。
そういうとこ気づくのね、もう!とにかくね、50周年なんですよ(笑)。そう言えばちょっと前に同じ苗字の水谷豊さんとお仕事した時にね、こう言われたんです。「水谷千重子さん、“今年も”50周年なんですよね」って。あぁ水谷豊さんが“それ”を知ってくださってるって!しかも「“今年も”」って。ちゃんと“そういうとこ”、踏み込まずにわかってくださってるんだなぁって嬉しくなっちゃったのね。だから、とにかく50周年と言えば、水谷千重子なんですよ!
ーー了の解です。今回の芝居「神社にラブソングを」はどんなお話に?
前作も担当してくださった二葉森之助先生が今回も書いていただいてるんですが、「やっぱり一人二役はやりたいので、そこは忘れないで!」ってお願いしてます。それと前回、見た目に派手な演出がお客様はお好きだったみたいなので、そういうものも取り入れてくださいなぁって演出の二葉慶太郎先生にもお願いしてます。
タイトルに「ラブソング」って入ってるじゃない、だったらやっぱり歌を折り込みたいじゃない、だから今回は阿佐ヶ谷姉妹ちゃんとどぶろっくちゃんに、新たに千重子ファミリーに入っていただいたので、歌って踊って、“バカ言ってる”素敵なお芝居になるはずです。
ーー“バカ言ってる”いただいたところで、阿佐ヶ谷姉妹さんとどぶろっくさんに加えて、武田真治さん、野村将希さん、はいだしょうこさん、生駒里奈さんが新たなメンバーとして参加されています。
真治ちゃんとは今年3月まで時代劇をの撮影をジョインさせていただいてたのね。その時に、そう言えば真治ちゃんて和のテイストをあんまり見たことなかったなって思って、改めて見てたらすごくお似合いなの!
凛々しくて、可愛らしくて、マッチョで。前回は原田の龍二ちゃんが出てくださって、ちょうど今回も男性の方をお迎えできたらと思ってお声がけしたら、千重子のためにスケジュールを預けますよーって(笑)。
そして野村将希ちゃんも、ベテランちゃんでしょ。それだけに何をお任せしても大丈夫だろうと。しかも真治ちゃん同様、筋肉がものすごいの!それに昔からアクションもなさるし。これは真治ちゃんとの新旧筋肉合戦ができるなぁって(笑)。
生駒里奈ちゃんは、友人の友近ちゃんが以前、『逃げるは恥だが役に立つ』の朗読劇で共演したそうで、千重子に“彼女はいいわよ~”って推薦してくれたの。
はいだしょうこちゃんは、元タカラジェンヌで、歌のおねえさんでお歌はもちろんだし、YOUちゃんとのWキャストなんだけど、お二人とも声が特徴的でチャーミング。それに独特の絵も描かれるから、絵師の役なんてどうかなぁって(笑)。とにかくね、どの方も素敵な方たちで、一緒に舞台に立てるのが今から本当に楽しみね!
ーー二部の歌謡ショーも楽しみです。千重子ファミリーの八公太郎さん、倉たけしさん、六条たかやさんに加えて、今回は因縁の再会という浜ローズさんが出演されるということに驚きましたし、すでに話題になっています。
因縁というか・・・大きな出来事があったというよりは、長年の積み重ねで。千重子が“陽”なら浜ローズは“陰”というか。千重子の明るさ、前向きさに、結局、自分が千重子といるとダメになるからって、浜ローズの方から耐えられなくなって離れていったって感じに。
ーーそんな浜ローズさんが今回、出演されるきっかけとなったのは?
八(公太郎)と倉(たけし)から言ってくれたんですよ。「お前、そろそろ千重子の舞台に出ろよ」と。それで浜ローズの方も「そうね」と。二人から「ローズが出るよ」って連絡をくれた時は嬉しかったなぁ。
だから今回、明治座で6月4日の初日、博多座は7月3日に三人が揃うんですけど、千重子は全然、浜ローズを受け入れる気満々なんですけど、きっと舞台上ではこれまでの経緯を話しながら「まだあんたはそんなにいい子ぶるの?あんたがいつまでもそんなんだから、私は仕方ないじゃない。あんたがそういう考えを変えない限り、一生そんな性格だよ」なんて言ってくると思います。いや、彼女なら言うはずね(笑)。
ーーでも実際、浜ローズさん自身も活動はされてましたが、舞台に立つことは滅多になかったですから、しかも明治座のみならず、地方にあまり行かない方だとおうかがいしていますので、今回、博多座にも出演されるのは本当に凄いと思います。ゲイ界隈でも衝撃ニュースとして駆け巡ってましたから。
千重子も今回、博多は無理かなぁって、ダメもとで聞いたら、「行くわよ」って。なんならどの出演者さんよりも早くスケジュールを出してくれましたから。
浜ローズとは30年ぶりですけど、彼女のお友だちのマツコ・デラックスちゃんとは天海祐希ちゃんと「世直し会」って名目でコロナ禍になる前はよく食事に行ってたんですね。みんないろんなことを吐き出していくうちに最終的に意見が一致するわけですよ。本当にもうテレビにも貢献して、色々やってきたしね。そんな中で、マツコちゃんが「浜ローズが何かクリエイティブなことをやりたい」って言ってたわよ~って。
だから浜ローズにしてもいいタイミングだったんじゃないかしら。それになんと言っても歌ね、彼女の歌を聴くのも何十年ぶりだろ。それは今からとっても楽しみ。やっぱり50周年を迎えるって、こういう奇跡が起きるんだなぁって。
ーーそして今回、初の博多座ですが意気込みはいかがですか。
福岡は友近ちゃんがライブをした時「お客さんの反応が凄くいいのよ」って言ってたし、私も何度かリサイタルで行かせていただいて、確かにお客さんの反応がもの凄く良くて大好きなところなの。
今回やらせていただくきっかけは、2年前の明治座公演を、博多座の方が見に来てくださったのよ。見終わってすぐに楽屋に挨拶に来てくださって、「ぜひうちの劇場でも!」って。フフ嬉しいじゃないですか。
千重子の舞台って、こちらから“やらせてください”って、営業する“モノ”じゃないと思ってるんです。やっぱり、水谷千重子っていう人物が持つ、“その世界観”をわかってくださらないと、無理やり押し付けて理解してくださいねって言ったところでなかなか受け入れてくださらないから(笑)。だからそういう意味では博多座さん側は、しっかり世界観を理解してくださった上で公演させていただけるので、すごくありがたいですね。
先日も八(公太郎)とふたりで太宰府天満宮に公演ヒット祈願に行かせてもらったのね。その時も博多座さんの完璧な計らいと太宰府天満宮にいらっしゃる方全員が世界観を作るために協力して、人力車を用意してくださったりしてね。もう俄然やる気が出ちゃって! 博多座の公演も待ちどうしいなぁって。せっかくだから福岡ならではのサプライズもできたらいいなぁって思ってます。
ただ、千重子ファミリーの楽しみって、舞台はもちろんですけど、舞台が跳ねてからの博多でのご飯だったりするんです。それがこのコロナ禍で行けないワケですよー。きっと公演が終わったらまっすぐホテルに帰らなきゃいけないワケですよー。酒豪番付1位の千重子が、博多の街に繰り出せないワケですよー。だから千重子のお願いね。普段テイクアウトしてないお店も、今からテイクアウトを始めて欲しいなと、切に思うワケですよー。
ーーでは改めて、明治座と博多座へのアピールをお願いします。
このコロナ禍でちょっと見に行くのも不安だわって方もいらっしゃると思うんですね。もちろん、その気持ちは凄くわかります。そう思われる方は絶対に家にいてた方がいいと思います。
でも、感染症対策はしっかりとしてますから、やっぱり今の世の中、笑顔になっていただきたいですから、そのためにお芝居や、歌謡ショーを見ていただいて、ちょっとでも笑顔になっていただける助けになって、明日をまた楽しく過ごせそうだわって気持ちになっていただけるよう、千重子ファミリー頑張りますのでよろしくお願いします!
そして、博多座は今回初めてなので、千重子ってどんなことするのかしら?って興味をね、持っていただいた九州を中心とした方々には、ぜひ一度ナマで見ていただいて、その世界観の中に入り込んで、楽しんでいただけたらなぁって思います。
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■ 水谷千重子 50周年記念公演
ドタバタ笑歌劇 神社にラブソングを/千重子オンステージ
>明治座/6月4日(金)~6月13日(日)
>博多座/6月25日(金)~7月4日(日)
インタビュー・取材/仲谷暢之
記事制作/newTOKYO