デスゲームで、しっぽり過ごすハッピーホリデー。「イカゲーム」シーズン2は、トランス女性・ヒョンジュさんの大活躍に酔いしれちゃって〜

LGBTQ映画を扱うゲイの映画ライターによるコラム連載

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映像作品をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第64回目

11月まで暖かかったせいか、12月に入ってからの急な師走感についていけなかった人いません? はーい、ここにいまーす。そんな方はおそらくクリスマスどころではなかったのではなかろうかと。とはいえ、自動的にゆく年くる年。女装紅白歌合戦やカイリーナイトなど年末には大型イベントも控えておりますが、もう疲れたよパトラッシュ……と、家でしっぽり過ごします、という方に、話題作『イカゲーム』シーズン2をご覧いただきたいのです。というのも、今回のゲームの参加者にトランスジェンダー(MtF)のキャラがいるから。

シーズン1をご覧になってない方はぜひともそちらを先に。シーズン1から地続きの展開なので、未見だとわけわかりません。しっぽり過ごすついでに観始めて(そしてハマりやすいドラマなので、一晩で一気見してしまうはず)。シーズン2をこれからご覧になる方の楽しみは奪えないので、ちょろっとだけ説明しますと、シーズン1でのゲーム勝者ギフンが、これ以上殺し合いをさせたくない思いからゲームに再び乗り込む、というお話。そのプロセスとゲームの内容は観てからのお楽しみ。

で、問題は新キャラです。配信前に発表されて話題なったのは、元BIGBANGのT.O.P.ことチェ・スンヒョンや元IZ*ONEのチョ・ユリなど、K-POPの著名人(彼らもゲーム参加者役)。ですがー、パク・ソンフンが演じているヒョンジュさんに注目。トランスジェンダー (MtF)のキャラクターで、登場してすぐに起きるあるハプニングからキャラ際立ちまくり。ゲームに参加する人=お金に困ってる人なので、彼女もあることのためにゲーム参加してるんですが、自分のためだけでない働きを見せるキャラとして大活躍します。

プライドでは大なり小なりの保守派との衝突が起きる韓国。社会でのセクシュアルマイノリティの顕在化は日本同様に進んでいるものの、インクルージョンまで達していないのが実情。そのトランスジェンダー(のみならずセクシュアルマイノリティ)を取り巻く環境と差別の実態を、しれっと物語に組み込んでいるんですね。しかも、群像劇なのでヒョンジュさんのエピソードは、物語全体の1割くらいという、出し過ぎず出さなすぎずのいい塩梅。

あ、「トランスジェンダーの役なのにノンケの俳優が!?」 というご批判は想定内ですよ(あたしも気になったところなんで)。でも、韓国都市部の民間レベルはいいとして、芸能界でのセクシュアル・マイノリティの顕在化と活躍はまだ厳しいのが実情。日本とほぼ同じかしらね……遅いよ、遅すぎるよ。

ぜひともこの機会にシリーズをご覧になって〜。あ、ちなみに2025年配信予定のシーズン3で完結を発表している作品なので、シーズン2は完結編の前半戦(シーズン3と同時に撮影されました)。「え、ここで終わり!?」と思わずにリピート視聴でしゃぶりたおしてくださいまし。

◆Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン2
監督:ファン・ドンヒョク
出演:イ・ジョンジェ、イ・ビョンホン、チョ・ユリ、イム・シワン、チェ・スンヒョン、パク・ソンフン ほか
現在、Netflixにて独占配信中

文/よしひろまさみち X@hannysroom
イラスト/野原くろ X@nohara96

記事制作/newTOKYO

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