スタッフ一人ひとりの自分らしさが最優先される「LUSH」が目指すダイバーシティな社会が凄い!

画像左から/LUSH JAPAN広報の小山大作さん、ショップスタッフの山田麻衣さん、LGBTsへの取り組みなどを伺った小椋ケンイチ(おぐねぇ)さん。

色鮮やかかつ個性的な香りのハンドコスメティックがラインナップする「LUSH JAPAN」。2013年からスタートした「LGBTキャンペーン」で、当事者はもちろん異性愛者への理解を深めることに大きく貢献。今や日本を代表するLGBTsフレンドリー企業と言ってもいいだろう。

そんな「LUSH JAPAN」がLGBTsやアライの人たちから多大な支持を受けている理由は、ただ単にLGBTsフレンドリーであることを主張するだけにとどまらず、自社で働くスタッフたちが自分らしく働くための徹底的な人事制度・福利厚生が社内、さらに消費者の耳にも届いている点にあるからではないだろうか。

今回は広報担当の小山大作さんにLUSHで働くきっかけや先進的な社内制度、そして彼が目指す誰もが暮らしやすい理想の社会についてお話を伺った。

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“WE BELIEVE IN LOVE”
LGBTキャンペーンの取り組みとは?

転職する前も現在と同じく広報として会社の商品が世の中の為になるということが伝わるよう意識してPRをしてきました。LUSHが以前から行っていたLGBTキャンペーンには心惹かれるものがあって、次第に「自分自身も当事者の一人として何かできないか」「自分らしく働ける場所って?」と考えるようになり、転職を決めたんです。それが2014年10月のことなので、今は入社して5年ちょっとになります。

入社してすぐの2015年1月、前々から興味のあったLGBTを支援するプロジェクトのメンバーの一人として動くようになりました。このプロジェクトのきっかけとなったのが、2013年にロシアで制定された同性愛宣伝禁止法、簡単に言うと未成年に対して同性愛のような「非伝統的な性的関係」をイメージさせる宣伝物を出してはいけないという法律でした。国が定めた法律によってロシアの街中ではLGBTsの当事者が無差別にリンチに遭う事件が多発し、動画共有サイトにもその悲痛な様子が流れたのです。

LUSHは世界48か国にビジネス展開をするグローバル企業。もちろんロシアにも店舗があり同じ仲間がそのような環境で働いていることに疑問を呈した、イギリスのスタッフの声に会社全体で賛同の声が上がったことでキャンペーンがスタートしました。かといって、ロシアのような同性愛をイメージさせる宣伝が禁止である国や同性愛自体が犯罪になってしまう国もあるので、各国内でのLGBTsへの理解を深めることにフォーカスして案を考えました。

日本ではちょうどLGBTsについて正しく理解しようという運動が地方自治体の間でも少しずつ広がっていた年。そこで中野区や世田谷区、名古屋市など積極的にLGBTsが暮らしやすい街づくりの取り組みをしている団体へエールを送るという意味も込めて、店舗や公式サイトで書面活動を行いました。すると私たちが予想する以上にお客様が協力してくださり「愛、人を好きになることに性別は関係ない」といったような温かい言葉ばかり集まったんです。当事者はもちろん、ストレートの方たちがこれほどまでに関心を持っているということに気付けたのは、私たちにとって意味のあることでしたし、チームで涙を流した瞬間でもありました。

集まった書面はLGBTs支援を率先して始めてほしい団体をお伺いして、届けに行きました。書面を実際に読んで「当事者だけでなく、ストレートの人たちがこんなにも差別のない社会で暮らしたいと願っているなんて…」と支援者のメッセージが心に響いている様子で、そういった社会を地方自治体が主導となって作っていかなくてはならないという意識が生まれた瞬間にも立ち会うことができました。また、それだけに留まらずに企業理念を知って下さった皆さんからは「自分らしく働ける場所を探していて…」といった、採用に関する相談のご連絡も多くいただくようになったんです。

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働く一人ひとりの意見の尊重
自分らしく働くための施策と企業理念

LUSHでは採用のエントリーフォームに性別を選択する項目がないことはもちろん、全身にタトゥーが入っていようが、顔中ピアスだらけだろうが採用、不採用に一切関係ありません。会社の成長にも大きく貢献してくれるであろう素晴らしい人材を見た目やセクシュアリティだけで判断して、入社していただけないなんてもったいないと思っています。採用するか否かは外見やセクシュアリティではなく、あくまでスキルを重視して判断しています。

みんながありのまま働いている場所であるからこそ、カミングアウトという概念すらありませんし、会社内のLGBTsにカテゴリーされる方の人数もカウントしていません。LGBTsが特別な存在として意識することがない、身近にいるという認識が前提にある環境だからできていることかなと思っています。
このような採用基準を設けているためLUSHでは自分らしく働いている、働こうと思っている魅力的なスタッフばかり。より良い企業へとステップアップするための気づきや声が個人から上がりやすい環境づくりへとつながっております。

過去の例ですと、ある一人のキッチンスタッフから「製造工場のトイレのマークが女性が赤、男性が青・黒なのは違和感がある」という声が届いたんです。

しかし、その工場が入ったビルは他社が管轄しているもので「それじゃ変えましょう!」と簡単に変えることができず…。新たに誰でもトイレを設置することも難しかったのでオーナーさんと直接話し合った末、性別での色分けは撤廃して木目調の無機質なものに、マークはそのまま残すという判断に至りました。理由としては、ロゴマークも新たに作り上げるとすると本当の意味でいう「ダイバーシティ」という面が損なわれる可能性があるためです。工場にもゲストがいらっしゃいますから、その方たちへの配慮をしてこのような形になりました。

「なぜスタッフ一人の為にここまで徹底して行動するのか?」とよく聞かれます。それはラッシュ創業者たちが残した「ハッピーな人がハッピーなアイテムを作れることを信じている」という信念を大切にしているからなのです。働く自分たちがハッピーじゃないと、人をハッピーにする商品を作ることは難しいはず。ショップに並んだ色とりどりで個性的なハンドコスメティックのように、誰もが自分の色を持って働けたら幸せですよね。

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LUSHが取り組む社内制度と
トランスジェンダーへのきめ細かな配慮体制

会社の制度としては、同性パートナーシップ制度に登録している社員が、異性間の婚姻時に付与される福利厚生と全く同じ待遇を受けられる「パートナー登録制度」を2015年から導入しています。2人を祝福する気持ちとしてのお祝い金はもちろんなのですが、その他にパートナーまたはそのご両親に何かあった際にサポートできる体制を確保してほしいという意味で、弔辞休暇や介護休暇も取得できる環境づくりをしています。

LGBTsにとってパートナーに不幸があったとき、どう説明して会社を休めばいいのか悩む人が多いと思うんです。パートナー、そして会社との良好な関係を築いていくという意味で、そういった点で悩みの種が生まれてしまうと長期的に働きたいと思えるような職場にはなりません。

…とは言っても入社後、国が定めた制度に自身が自認している性別ではない性で登録をしなければいけないシーンに直面することも正直あります。そういった場合は広報を始めとする部署が相手側に説明をするのですが、中でもトランスジェンダーの方が苦痛と感じることが多い健康診断はとても繊細に扱っています。

身体と見た目が合致していないと、周囲から特異な目で見られてしまうことがあるという声が上がって以来、病院にはトランスジェンダーの方に向けた配慮をお願いするようになりました。

具体的には男女以外にトランスジェンダーの方が健康診断用の服に着替える際、更衣室を別で設けてもらえるか掛け合っています。最近ではご理解をいただける病院が多くなっている印象がありますが、その一方で話は聞いてもらえるものの「規則は規則」とまだまだ従来の診断方法でお願いしますと言われる病院があるのも現状です。ただ4~5年前と比べてみると、LGBTsの存在や理解しようという気持ちは進んできているのではないかなと感じています。

少しでも多くの病院が理解した上で行動を起こしていただけるように、一つひとつ地道ではありますが、道を切り開いていけるように力をいれていきたいと思っています。

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お客も自分らしさを開放してショッピング
ジェンダーを感じさせない接客と空間づくり?

自分らしく生きているスタッフの一人ひとりの気持ちが商品とともにアウトプットされる場所であるショップでは、お客様も自分らしさを開放してショッピングを楽しめるようジェンダーという面での壁を感じないような接客や空間づくりを心がけています。

ーー自身もレズビアンであるというショップスタッフの山田麻以さん

お客様と会話をする際は男女という性別に縛られないようにコミュニケーションをとるようにしています。よく「男の子が好きなそうな香りってありますか?」と聞かれるのですが、「その方が普段どんな香りを好んで使っているか教えてもらえませんか?」と、個人を知った上で数ある商品から合いそうなものをオススメするようにしています。LUSHでは男性用・女性用というようにジェンダーで商品を区切ることはしていませんし、甘い香りが好きな男性やクールな香りが好きな女性もたくさんいますよね。

同じように、プレゼント用に聞かれる際にも「彼氏さん用ですか?奥さん用ですか?」ではなく、「パートナーの方用ですか?」という性別を限定しない表現をしています。

私自身、以前働いていたスポーツ関係の会社では自分のセクシュアリティをオープンにすることはなく、「結婚はしないの?」「彼氏できた?」など体育会系のノリでほぼ毎日といっていいほど話題を振られることが多く、自分自身に対しても嘘を付かなければいけない経験をしてきました。それからLUSHを知って入社したのですが、そのとき抱いた思いをお客さんには感じていただきたくないので、いつも意識して接客するよう心がけています。

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誰も暮らしやすい社会とは?
LUSH JAPANが目指すダイバーシティ

日本でも5年前ほど前からLGBTsという存在の認知や理解を深めようという社会的な動きが活発になってきて、誰もが暮らしやすい世の中になるための過渡期に入っています。日本も先進国の一国としてリードする立場になっていくためにも一人ひとりが考え、話し合う機会が多く設けられることが大切になっていくでしょう。

なぜなら、私たちはみんな人間なんですよ。
そこに性別が重要ではなくて、人間として素敵だと思ったり共感できるからこそ、人は繋がるのであって、その根本って意外とシンプルだったりするのだと思います。LUSHの取り組みは、あまり考えたことのなかった人には考えてもらうきっかけになりますし、それについて自分の意見を持つことにもなります。じっくり考えてみていろんな意見、賛成・反対、どっちもあっていいと思うんです。でもそれはお互いが話すことできっと分かりあっていくことができるんだと思います。

誰もが暮らしやすい社会って、「LGBTsについて話しやすい環境のある」社会じゃないのかと思います。
そのような国になっていくためにもまずは、自分らしくいられる場所のひとつとしてLUSHがあり続けたいと思っています。

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LUSH JAPAN

LUSH JAPAN
https://jn.lush.com

取材・インタビュー/村上ひろし(newTOKYO)
編集/芳賀たかし(newTOKYO)
撮影/EISUKE