近いようで遠いコミュニティに想いを馳せる。映画『3670』で巡るソウルと、心の距離。

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映像作品をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第84回目

この夏、韓国に旅行に行った人も多いのでは? ソウルのゲイシーンは鍾路3街(チョンノ サムガ)と呼ばれるエリアが中心地となっておりますが、そこを舞台にした映画があるんですよ。

それが『3670』。タイトルの意味はソウルのゲイ・コミュニティで使われる略語で、3は3街(鐘路)、6は6番出口、7は午後7時、0はサークルのチャットルーム番号なんですって(懐かしの伝言ダイヤルの暗号みたいなもんです)。

脱北してソウルで暮らすチョルジュンは、韓国社会に溶け込めないだけでなくゲイとしての出会いもうまくいかずに悩んでいました。

そんな彼が勇気を出して出てみた出会い系パーティでは、北朝鮮出身ということをさして気にせず、むしろ個性として受け入れてくれたヨンジュンをはじめとする仲間たちと出会います。これでチョルジュンの悩みは解決……と思いきや、というお話。

イケてるグループに入り、素朴で正直な性格で、じつはめちゃマッチョなボディ。チョルジュンにはモテ要素満載なんだけど、そこにそびえ立つ壁は「北から来た」こと。

言葉のアクセントが微妙に違い、カルチャーもギャップがあるチョルジュンは、生活圏でもゲイ・コミュニティでもちょっと浮いてしまうんですね。ゲイ視点だけでなく、韓国でしか成立しない「ソウルで暮らす脱北者」設定で描いたことで、マイノリティの中にもあるマイノリティ差別の解像度をあげた傑作。

これまで日本では第5回アジアンクィア映画祭での上映で終わってたんだけど、ようやく劇場で観られます。この機会を逃さないで!

◾️『3670』
監督:パク・ジュンホ
出演:チョ・ユヒョン、キム・ヒョンモク ほか
配給:ショートレッグフィルム
公開:2026年9月25日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開
https://shortlegfilm.asia/film-3670/

文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96
提供/ショートレッグフィルム


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