
ジムのロッカールームや、深夜のSNS、ハッテン場(遊び場)の片隅で囁かれる「男のカラダにまつわる噂話」。
「大事な撮影やイベントの前はオナ禁して、皮脂や肌荒れを抑える」
「筋トレの成果を爆発させるために、射精を我慢してテストステロンを溜め込む」
「出したら亜鉛が減るから、サプリをガブ飲みする」……。
見た目やパフォーマンスに人一倍気をつかう僕たちMSM(男性間性交渉者)にとって、こうした“オナ禁神話”はどこか魅力的に響くもの。けれど、それって本当に効果があるのだろうか?
この連載では、プライベートケアクリニック東京 東京院 院長の小堀善友先生(泌尿器科・生殖医療専門医)監修のもと、人に聞いてもパッと答えが出ないメンズの性の疑問をズバッと解決。
第28回は、 GOGOボーイとしてアジアで活躍するTAKASABROこと岩村隆三郎さんと一緒に、「オナ禁・肌荒れ・筋トレ・サプリ」の噂を医学の光で解剖! 噂に振り回されない賢いセルフケアと、本当に注意すべき「男のホルモン低下」について小堀先生に詳しく話を聞いてきたぞ!

ーー勝負日の前の「オナ禁」で、肌が綺麗になる? 筋肉がつく?
TAKASABRO:小堀先生! モデル仲間やジム通いの友達の間で「大事なイベントや撮影の前はオナ禁する」「筋トレの効果を最大化するために射精を我慢する」っていう人が結構いるんです。射精を控えるとテストステロンが溜まって、肌が良くなったり筋肉がつきやすくなったりするんですか?
小堀先生:結論から言うと、オナ禁による美肌や筋肥大の効果には全く医学的エビデンスがありません。「射精すると男性ホルモンが減る」「禁欲すると大きく増える」というほど、人間の身体は単純ではないんです。
射精に伴う生理的なホルモン変化はほんの一時的なもので、それが肌質や筋トレの成果に影響を与えることはまず考えられません。「1回目の射精時の精液量を増やしたい」という目的以外なら、勝負日の前にオナ禁をする意味はほとんどないですね。
TAKASABRO:じゃあ都市伝説だったんだ……!
小堀先生:そうです(笑)。肌を整えたいなら、オナ禁よりも「しっかり睡眠をとる」「普段から自分に合ったスキンケアをする」こと。筋トレの成果を出したいなら「しっかり鍛えて、よく食べて、よく眠る」。結局のところ、当たり前で常識的な生活習慣のほうが、医学的にはずっと理にかなっています。

ーー筋トレの効果を最大化するために、射精を我慢するべき?
TAKASABRO:もうひとつ、ジムに通っている友達やトレーニーの間で「筋トレの成果を最大化するために射精を我慢してテストステロンを溜め込む」っていう説をよく耳にします。やっぱり射精を控えた方が筋肉がつきやすくなったり、トレーニングのパフォーマンスが上がったりするんでしょうか?
小堀先生:こちらも結論からお伝えすると、全く医学的エビデンスはありません。「射精を我慢するとテストステロンが増えて筋肉がつきやすくなる」という根拠はないんです。射精に伴うホルモンレベルの変動は一時的なもので、筋肥大や運動パフォーマンスに影響を与えることは考えにくいですね。
「射精するかしないか」を気にするよりも、しっかりトレーニングをして、タンパク質をはじめとする栄養を過不足なく摂り、十分な睡眠をとる。結局のところ、そうした基本的な生活習慣を愚直に守ることの方が、筋肉を育てる上ではるかに重要で理にかなっていますよ。

ーー頻繁に射精すると栄養が不足する? サプリの過剰摂取に潜む罠って?
TAKASABRO:もうひとつ、「射精すると精液と一緒に亜鉛やタンパク質が排出されて肌荒れや筋力低下につながるから、サプリを大量に飲む」っていう話も聞きます。射精後の「栄養補給」って必要なんですか?
小堀先生:確かに精液にはタンパク質や亜鉛が含まれていますが、1回の射精で出る量はせいぜい数ミリリットルです。その程度の量で体に栄養障害が起きて、筋肉が減ったり肌が荒れたりすることは考えにくいですね。射精したからといって過剰にサプリを飲んだり、極端な食事制限をするのはナンセンスです。
むしろ注意が必要なのは、噂を信じた「サプリの過剰摂取」です。例えば、亜鉛を長期間過剰に摂り続けると、体内で銅の吸収が妨げられて、かえって体調不良を引き起こすリスクがあります。特定の栄養素を大量に摂るより、普通にバランスよくご飯を食べることの方が大切ですよ。

■ 小堀善友 医師
プライベートケアクリニック東京 東京院院長。2001年金沢大学医学部卒業。金沢大学泌尿器科、米・イリノイ大学シカゴ校泌尿器科、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授を経て、2021年より現職。日本泌尿器科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本性機能学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性科学会セックス・セラピスト。著書に『オトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)ほか多数。
■ プライベートケアクリニック東京(東京院・新宿院・名古屋栄)
性感染症の診療を専門家チームが丁寧に行うクリニック。皆さまを温かくお迎えし、PrEP/PEP/DoxyPEP・性感染症(性病)の適切な診断・治療を行います。男性・女性・LGBTQ+の方・パートナー同士でも受診することが可能です。また、体の倦怠感や性欲低下など、男性ホルモン(テストステロン)にまつわるお悩み・ご相談も受け付けています。
https://pcct.jp
記事協力・監修/プライベートケアクリニック東京
グラフィックデザイン/Nukui Shota
記事掲載/newTOKYO











