映画ライターのよしひろまさみちが、今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム「まくのうちぃシネマ」。
9本目となる今回は……さわやかに〜恋をして〜♪(水前寺清子)古いネタでごめんなさい。夏だ、祭だ、恋の季節だ、夏よ! とはいえ、今年の夏はこんな状況なもんで、恋以前に誰かご新規に出会うことすら微妙な方も多いことでしょう。そこで、甘酸っぱい恋の気持ちを取り戻していただくべく、『LOVE, サイモン 17歳の告白』を紹介します。
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内容自体はカムアウトするにもできず、ストレートの同調圧力に屈しているゲイの高校生が、匿名の同級生とのメールで「自分だけじゃなかった……(ホッ)」と安堵しつつも、顔も名前も分からないメール相手の同じ学校の生徒に恋していくってお話。ね、甘酸っぱいでしょ?
そしてこの映画のポイント。甘酸っぱい共に、考えさせられるのが、2010年代後半のアメリカでこれが作られたことね。
性的マイノリティの人権が保証されている国では、学校教育でちゃんとそこを学んでいることから、差別や偏見はさほどない……とされているんだけど、やはりそれは都市部が主なのよね。この映画の舞台になってるのは、ド田舎とまではいかないまでも、移動遊園地が来るような小さな町。たしかになー、この環境じゃカムアウトもできんわな。おまけにサイモンのパパは昔アメフト選手、ママは元チアリーダー、と典型的スクールカースト上位にいたノンケだものね(そのため、パパがイケメンです)。
これを観て、かつてのサマータイムラブの思い出に浸るもヨシ、お若い方なら共感するもヨシ。旅はまだお控えに、おうちで映画でも観て楽しんでね。
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映画:LOVE, サイモン 17歳の告白
ストーリー/高校生のサイモンは、ゲイであることを隠して、幸せな毎日を送っていた。ある日彼は、学校のオンライン掲示板でゲイの同級生がいることを知る。メールを通じて彼に惹かれていくサイモンは、彼が誰なのか気になって仕方ない。そんなとき、ウザい同級生にメールが見つかってしまい……。
監督:グレッグ・バーランティ
出演:ニック・ロビンソン、ジェニファー・ガーナー、ジョシュ・デュアメル ほか
配信:Amazon Prime Video(レンタル)
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンよりDVD発売中
文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96