映画ライターのよしひろまさみちが、今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム「まくのうちぃシネマ」。
11本目となる今回は……トランスジェンダーが主人公の映画やドキュメンタリーが静かに話題になっているので、ここであたし的に傑作だったトランスジェンダー映画を紹介しますわ。このコーナー初の邦画『彼らが本気で編むときは、』で〜す(パチパチパチ)。
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公開当時は当事者の方々から、さまざまな意見が出た作品ではありますが、セクシュアル・マイノリティの作品っていつもそうなのよね……。だって、大きくLGBTQって分けてても、持ちうる問題って個々違うし、千差万別十人十色。当てはまらない話に文句言っちゃうのも分かるのよね(ゲイ映画でもよくあることでしょ?)。
でもあたしがこれを高く評価しているのは、少なくとも暗い結末ではないから(ネタバレごめん!)。詳しくは書かないけど、80〜90年代に作られたこのテーマの映画だと、必ずデッドエンドじゃない。殺さないでよ! って思うわけですよ。そこ、今作る作品では大事なこと。リンコ(性別適合手術を受けたトランスジェンダーの女性)がとてつもなく優しく、恋人のマキオはさらに輪をかけて優しいのが現実離れしているところだけど、これも理想の未来像としては正しい描写だと思うの。
だから、とりあえず観て。そして語ることが大事よ。
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映画:彼らが本気で編むときは、
ストーリー/母親が家出し置き去りにされたトモは、叔父のマキオの家へ。そこには彼の恋人リンコが。MTFトランスジェンダーのリンコはトモに優しく接し、実の母以上に愛情を注ぐが、当のトモは困惑しっぱなしで……。
監督:荻上直子
出演:生田斗真、桐谷健太、小池栄子、ミムラ 他
配信:Netflix、YouTube(レンタル)、Google Play ムービー&TV(レンタル)、ジェイ・ストームよりDVD発売中
文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96