毒親持ちのエルファバと超人気者でウザ可愛いグリンダが織りなす、マイノリティ讃歌「ウィキッド ふたりの魔女」

LGBTQ映画を扱うゲイの映画ライターによるコラム連載

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映像作品をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第66回目

アカデミー賞授賞式が近づいてまいりましたが、今年は『教皇選挙』や『エミリア・ペレス』などのド直球クィア映画がノミネートされている一方で、直接的ではないにしても「クィア映画に入れてもいいんでね?」という作品がいくつか。そのなかでも最高だったのが『ウィキッド ふたりの魔女』でーす。ブロードウェイや劇団四季のファンの方にはおなじみの『オズの魔法使い』アナザーストーリー。

ん? 知らない? だいじょぶよ~。超絶分かりやすくいえば、“アナ雪”好きなら絶対ハマるマイノリティ讃歌なの。 『~ふたりの魔女』は舞台版『ウィキッド』の第一幕までが描かれた二部作の最初。

緑のお肌のエルファバと、ウザ可愛いのがチャームポイントのグリンダは親友同士だけど、エルファバは肌の色の偏見で不当に差別されていたのね(しかも親からも。毒親問題!)。紆余曲折あって、エルファバは自分の世界を飛び出すことを決意するってとこまで描かれてます(だいぶ割愛)。舞台版は一幕90分ちょい、映画版は160分。

この違いは、舞台では省略されたエルファバの幼少期パートをきちんと描いたから。これがとてもよき。マジ毒親。そりゃ自己肯定感下がるわ。これがあるから、本作の大ラスにかかる名曲「Defying Gravity」が際立つのよ~。自分を肯定しようと思っているマイノリティが、それを阻む抑圧=重力(Gravity)に逆らって(Defying)、自分を取り戻そう羽ばたくマイノリティ讃歌。めちゃいい音響の劇場で観てね!

◆『ウィキッド ふたりの魔女』3月7日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:ジョン・M・チュウ/出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ボーウェン・ヤン、ジェフ・ゴールドブラム、ミシェル・ヨー ほか/配給:東宝東和

文/よしひろまさみち X@hannysroom
イラスト/野原くろ X@nohara96

記事制作/newTOKYO

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