
映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映像作品をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第83回目
あれから四半世紀経っちゃったのね……と、製作年をみてうなだれた『ハッシュ!』。めでたいことに4Kリマスターになってスクリーンに帰ってきました。

ぶっちゃけいいますと大傑作です。ただ、当時ゲイの間で言われたのは、「よくぞ普通のゲイカップルを描いてくれた」。たしかにそうで、それ以前のゲイ映画ってなんか変わったキャラだったり、ずっと痴話喧嘩してたり、おもしろおかしく描かれちゃってたんですよ。それが本作では2人暮らしゲイライフが特別なものじゃなくて、価値観やカミングアウトに対する考え方が違ってもいい関係性で描いてるのね。何も特別じゃなく、家族になった2人はそこかしこにでき始めた時代だったので「おお!」ってなるのも当たり前。
でもな、今改めて観るともっとすごいところまで深堀りされてるのよ。ゲイってことがバレるのを恐れて生きる勝裕とゲイライフを謳歌してる直也のカップル、過去のトラウマからボッチを選択した朝子。一見バラバラのglobe編成3人は、朝子の妊活協力要請によって知り合い、関係を深めていくのね。

そんな彼らの共通点は「他者との関わり方が不器用」。多様に生きる概念が芽生え始めたけど一般的ではない時代、不器用過ぎる生き方をしてる彼らは、どこにもウソがなくてむしろ今を生きる人が観てもリアルなはず。
だって、人って不器用なもんだから、今だってうまくやれない人のほうが多いはず。おまけにSNSどころかインターネット普及前なので、ヴァーチャルに頼らず人と人がつながるってこんなに希望に溢れているんだ、と改めて感じさせてくれますよ。効率重視、見栄張ってなんぼ、っていう人ほど、この作品を今観るべき。
◾️『ハッシュ!』4Kリマスター版
監督・脚本・編集:橋口亮輔
出演:田辺誠一、高橋和也、片岡礼子、冨士眞奈美、光石研、秋野暢子、つぐみ ほか
配給:ビターズ・エンド
公開:現在、シネマート新宿ほか全国ロードショー中
https://www.bitters.co.jp/hashiguchifilm_4k/
文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96
提供/ビターズエンド











