人って一人じゃ生きられない生き物で、助け合い支え合わないとダメ。映画「ザ・ホエール」で心の扉を開いて!

映画ライターのよしひろまさみちの映画レビュー

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム

「まくのうちぃシネマ」第44回目

さぁて今年も東京のパレード「東京レインボープライド」楽しんだ方、手〜挙げて〜(はーい)。
と、イベントを楽しんでいられるのも、健康なうち。
寄せる年波、感じるようになったあたしも、はたしてあと何年この風景を生で見られるやら……という気持ちも出てきましてよ(もっとベテランのレジェンドたちは元気だから勇気出るわ〜)。その健康の危機、みたいなことって、年齢に関わらずあるもので。

よしひろまさみちの「ザ・ホエール」の映画レビュー

今回ご紹介する映画『ザ・ホエール』の主人公はチャーリーがそれ。最愛のパートナーを失った悲しみから引きこもりになり、食い散らかすことにだけ「生」(ナマじゃなくてセイね)を感じつつ、そろそろ死期が迫ったことを悟っている272キロの40代……。

そもそも外に出ないし、出会いも必要と感じていないし、社会的なつながりも拒絶した生活の彼は、まさにボッチ。ボッチなのよ! これ、切実〜。
チャーリーはかなり極端な例だけど、ちょいちょい現実味あるエピソードもあるわけ。

よしひろまさみちの「ザ・ホエール」の映画レビュー

たとえば、最期を悟ったから自分の娘とのつながりを少しでも感じたくなるとか(だったら、こうなる前にやるべき)、身の回り任せきりの看護師に甘えるとか(だったら、病院行け)、そういうところにズケズケやってくるのはカルトだったりとか(マジこわい)。
ツッコミどころ満載の中年の危機アルアル。おまけに、冒頭シーンはまさかのエロ動画でオナニーよ(スウェットおろせないから手をつっこんでヤル)。

もう、彼のことがヒトゴトには見えなくなってくるったら……。人って一人じゃ生きられない生き物で、助け合い支え合わないとダメ。でもそのためには、心の扉をちょっとでも開いておかないと、っていうお話。
ブレンダン・フレイザーの復活劇ばかりがニュースになっているけど、中身も強烈なのでぜひ見てね。

ザ・ホエール
ストーリー/ボーイフレンドのアランを亡くして以来、現実逃避から過食状態になり健康を害してしまった40代の男チャーリー。自分の死期がまもなくだと悟った彼重は、最後にやり直す機会として、疎遠になっていた10代の娘との再会を試みるのだが……。

監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ブレンダン・フレイザー、セイディー・シンク、ホン・チャウ ほか
配給:キノフィルムズ
公開:現在、TOHOシネマズ 新宿ほか全国公開中

文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96