
スウェーデン発のラグジュアリーセルフケアブランド「LELO(レロ)」と日本の昭和エロス文化をアーカイブする「大道芸術館」がコラボしたイベント「伝統と革新が交差する場所」が、2025年5月29日(木)まで開催中。
本イベントは、「性と快楽」「アートと知性」「過去と未来」が交差するセクシュアルウェルネス体験を通じて、自分自身と向き合う貴重な機会を提供している。

ーーー日本の性文化とアートを感じる非日常空間
会場は東京で唯一、花街として残る向島に位置する大道芸術館。玄関をくぐると、女将のこんたあつこが出迎えてくれた。そして、彼女によるアートピースから紐解く性の歴史と変遷を辿る館内ツアーが始まった。

最初に案内されたVIPルームには、1985年から2000年頃のレーザーディスクカラオケから蝋人形まで、ユニークなコレクションが並ぶ。編集者の都築響一が手掛けたこの芸術館には、教科書には載らないような昭和大衆文化の断片が息づいている。

2階のバーエリアには、上野のオリエント工業が手掛けたラブドールたちがズラリと佇む。壁一面には、70年前の見世物小屋から持ち込まれた絵看板が飾られており、これがおそらく日本で最後の作品とされている。

ーー誰もが性を楽しみ、感じられることを目指すLELOのアイテム
そんな異空間に広がるLELOのアイテムは、単なるセクシュアルトイとしてだけでなく、アート作品としても輝きを放っていた。実際に触れてみると、硬すぎず柔らかすぎず、肌にフィットするような心地よい触り心地である。
これは医療用シリコンを使用しているためで、LELOが掲げる「性別、性的指向、人種、年齢にかかわらず、誰もが“感じられる”こと」が一貫して体現されている。

アプリと連動する「HUGO™ 2」は、アナルを刺激する前立腺バイブで、一人でもカップルでも何度でも前立腺オーガズムを体験できる。クリトリスバイブ「ORA™ 3」は、オーラルセックスの感覚を再現する回転型シミュレーターを搭載し、女性一人でも楽しめる。また、全体に振動が行き渡るため、女性同士で共有することも可能だ。

「F2S™」や「F1S™ V3」といった電動オナホールは、男性のオーガズムにおけるトレーニングとしても活用されているそうだ。女性のオーガズムに達する平均時間が17分であるのに対し、男性の8割は5分といわれているため、相手のペースに合わせたいと考える人にぴったりではないだろうか。

ーー枝優花×こんたあつこによるトーク「性とアートの関係性」
イベントの後半では、映画監督・写真家の枝優花とこんたあつこによるトークショーが開催された。性と芸術の関係性や時代の変遷に迫るこのトークショーで、枝優花は「映画を見て嬉しいと感じる時は、自分という輪郭がしっかりした時」と語り、それは「エロという分野においても、“感じる”ことで自分を知ることにつながるのではないか」と共通点を挙げた。

また、大道芸術館が存在することについて、こんたあつこは印象的な客との会話をシェアした。
「フェミニストのお客様が来た時、この空間を不快に思われるのではないかと少々不安がありました。しかし、お客様は『むしろみんながハッピーになれる空間になってるから、全然問題ない。ここには“同意のない性”っていうものはない』と言ってくれて、私の中でしっくりくるものがありました」

隣の見知らぬ人と「この商品、面白いですね」「こちらも触ってみます?」といった会話ができるのは、居酒屋で見知らぬ人に性の話を持ちかけられるのとは全く意味が異なる。
それは、この空間にいる人たちと、ある種の性的同意がなされているからかもしれない。社会生活を送る中で、性の話はまだまだ言葉にしづらいテーマだが、大道芸術館は人々が安心して性と向き合い、語り合える貴重な場を提供している。

このイベントは、まさに伝統と革新、過去と未来が交差する、日本の性文化とアートの新たな可能性を投げかけてくれるものだ。1週間限定開催、お見逃しのないよう、ぜひこの特別な空間を体験してほしい。
◆「伝統と革新が交差する場所」
https://museum-of-roadside-art.com/events/events-314/
期間:2025年5月24日(土)〜5月29日(木)
場所:大道芸術館(〒131-0033 東京都墨田区向島5丁目28−4)
取材・文/Honoka Yamasaki
記事制作/newTOKYO