2021年カンヌ国際映画祭のある視点部門に正式出品された新鋭C.B.Yi(シー・ビー・イー)監督の長編デビュー作品『MONEYBOYS』。邦題を『マネーボーイズ』として、4月14日(金)よりシネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国順次公開される。
本作は、田舎の両親に仕送りを続けるため男娼として生きたフェイと、その恋人の葛藤を描き出した物語。フェイは恋人のシャオレイと同棲しながら、体を売って生きていた。そんな田舎の家族はフェイからのお金を当てにしながらも、彼が同性愛者であることは一族の恥として受け入れない。
ある日、フェイが顧客から暴行を受けたことを知ったシャオレイは、その男を見つけ叩きのめした。しかし、その男の部下たちが報復のためシャオレイに襲い掛かり、一緒にいたフェイは警察から逃れるためシャオレイを見捨てて逃げ出してしまう。
それから5年後、フェイは男娼として違う都市で羽振りよく暮らしていた。そこへ同郷の幼なじみ・ロンが、自分も体を売って稼ぎたいとフェイの元に転がりこんでくる。そんなある日、フェイはシャオレイと偶然にも再会するが……。
中国で幼少期を過ごしオーストリアに移住後、ウィーン・フィムル・アカデミーにて巨匠ミヒャエル・ハネケに師事したC.B. Yi監督の長編デビュー作である本作『マネーボーイズ』。2021年カンヌ映画祭ある視点部門で上映され、台湾の金馬奨最優秀新人監督賞、最優秀主演男優賞にもノミネートされた。
そんなC.B. Yi監督が、中国の田舎出身の若者を描きながら、その若者たちを待ち受ける経済的・社会的な葛藤、そして彼らの存在を否定する保守的な共同体の二面性という、世界中のどこでも起こりうる普遍的な人間関係を見事な映像美で描き出す。
主演フェイを演じたのは日本でも話題となった『あの頃君を追いかけた』(2011年)のクー・チェンドン、シャオレイ役にはドラマ「お仕事です!~The Arc of Life~」(2021年)のリン・ジェーシー、そして『3人の夫』(2018年)のクロエ・マーヤンが1人3役を務め圧倒的な存在感を放っている。
ーー誰もが自分を売って生きている。
フェイが放つ「お前は家族で、彼は愛する人だ」の強烈な一言、そしてラストシーンに込められた真意とは…?
息をのむほどにエモーショナルな映像美で紡ぐ、都会の片隅で愛を求めもがく若者たちの物語から、国や地域、時代背景に限らず、今もはびこる保守的なイデオロギーへの翻弄と“家族”と“愛”について、今一度考えてみてはいかがだろうか。
■マネーボーイズ
2023年4月14日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
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監督:C.B. Yi 出演:クー・チェンドン、クロエ・マーヤン、リン・ジェーシー、ザック・ルー、バイ・ウーハン 配給:ハーク ©︎ KGP Filmproduktion, Zorba, ARTE France Cinéma,Flash Forward Entertainment, La Compagnier Cinematographique&Panache Productions 2021
記事制作/newTOKYO