人を好きになることをあけすけに描いた映画「エゴイスト」で、甘さも苦さも噛み締めちゃって〜!

映画ライターのよしひろまさみちの映画レビュー

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム

「まくのうちぃシネマ」第41回目

今回はゲイ特化形映画。
というのも、ゲイの原作者の実体験がもとになっている『エゴイスト』だから。内容はググれば鬼のように出てくるので割愛しますが、愛って結局はエゴの押し付け合いよね……っていうお話。

よしひろまさみちのエゴイストの映画レビュー

これを推す理由はみっつ。
ひとーつ、鈴木亮平さんがすんばらしい。亮平さんが演じている浩輔は原作者の高山真さんを投影した役なんだけど、生前の高山さん本人を知っている人が観ると「降りてきてる……」と感じずにはいられない、リアルなゲイっぽさ(というか高山さんっぽさ)。

しれっと浩輔の友人役で出演されているドリアンさんとも「会ったことないはずなのに亮平さんの芝居すごいわ」と言い合ったほど(ドリアンさんも高山さんをご存知)。生まれ育ったけどゲイでいるには窮屈過ぎた故郷を呪い、これでもか! ってくらいに東京ゲイライフを満喫している浩輔にシンパシーを感じる人も少なくはないはずよ。

ふたーつ、宮沢氷魚さんがすんばらしい。
浩輔が恋に落ちるウリセンの龍太を演じているんですが、彼のお客さんあしらいがマジリアル。リアル過ぎて「氷魚さん、経験あるんじゃないかしら」と思ってしまったほど(→ないです)。監督にそこ聞いたら、テキストでは残せない秘密を教えてくれました。知りたい人はあたしに直接聞いて。

よしひろまさみちのエゴイストの映画レビュー

みっつー、人を好きになるってどういうことかを、こんなあけすけに描いた映画は珍しいこと。

詳しくは申しませんが、それを象徴するセリフがあるシーンに。「好きになっちゃったんだもん。しょうがないじゃない」。まさにこれ。本気で好きになった相手がどういう状態になっても寄り添いたいもの。だって好きになっちゃったんだもの。
これ、あるノンケの役から出るセリフですが、セクシュアリティ関係ないわよね。他人同士が惹かれ合い、愛を育むってことがどういうことか、めっちゃ真正面から向き合い、甘さも苦さもかみしめられる傑作ですの。ゲイ当事者は絶対観るべき恋愛映画よ。

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■エゴイスト
ストーリー/東京で華やかなシングルライフを送る浩輔(鈴木亮平)は、ひょんなことでパーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)と出会い、彼らは惹かれ合う。ところがその別れは突然訪れ……。

監督:松永大司
出演:滝鈴木亮平、宮沢氷魚、ドリアン・ロロブリジーダ、柄本明、阿川佐和子ほか
配給:東京テアトル
公開:2023年2月10日より、全国ロードショー

文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96