「怪物」とセットで観てちょうだい。映画「CLOSE/クロース」が伝える“子ども世代の性のゆらぎ”について。

映画ライターのよしひろまさみちの映画レビュー

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム

「まくのうちぃシネマ」第47回目

先月のプライドマンスのベストタイミングに、カンヌ国際映画祭で日本映画で初めてのクィア・パルムをゲットした『怪物』が公開されましたわよね。
LGBTQ+だけを描いた映画じゃない、という監督コメントをきっかけに、ネガティブな意見が散見されましたが、あたし的には「批判する気持ちも分かるけど、まぁそうだよね……」と思うわけですよ。

だって、ゲイテーマのパート、めちゃネタバレ厳禁のクライマックスなんだもん。
ただ、あのコメントの仕方はダメだったな、と思いますけど。言うなら「ローティーン独特の性のゆらぎと社会意識の問題を描いた」とか言ってくれたら合格みたいな。とはいえ、あの作品は、様々な問題を分かりやすくドラマ化したことに関していえば超すんばらしかった。特にそのクライマックスのパート。

よしひろまさみちの「CLOSE/クロース」の映画レビュー

……で、そのパートを抽出して、濃縮果汁還元的なことをやってのけた完璧なクィア映画が『CLOSE/クロース』なんすよ。セットで観てほしい〜!

トランスガールの悲劇を描いた映画『Girl/ガール』で2018年にクィア・パルムをゲットしたルーカス・ドン監督の新作(監督超イケメン。彼氏もイケメン←インスタ@lukasdhont参照)。
「永遠を壊したのは、僕。」というコピーだけでも想像できることなんだけど、もうね、文句のつけようのないくらいに、『怪物』のあのパートだけを抽出して仕上げてるのよ。

よしひろまさみちの「CLOSE/クロース」の映画レビュー

ということはイコール、子ども世代の性のゆらぎはもちろんだけど、親密過ぎる子たちに対する揶揄やいじめなどって全世界共通ってこと。

そして、それはとりもなおさず、彼らの一番近くにいる親や大人に重〜い責任があるってことなんですわ。ノンケの親世代はもちろんだけど、これからを担う若い性的マイノリティの皆さんにこそ、この映画を『怪物』とセットで観て考えていただきたいわ〜。

CLOSE/クロース
ストーリー/花農家のレオと幼馴染のレミは、兄弟のような親しい仲だった。中学校に進学すると、彼らはクラスメイトから付き合っているの?といじられるように。レオは親友だからとむきになるが、いつしかレミを避けるようになってしまう……?
https://closemovie.jp

監督:ルーカス・ドン
出演:エデン・ダンブリン、グスタフ・デ・ウェール、エミリー・ドゥケンヌ、ケヴィン・ヤンセンス ほか
配給:クロックワークス、STAR CHANNEL MOVIES
公開:7月14日より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96