マイノリティの扱いをコミカルに描ききった映画「バービー」は、今を生きるあたしたちみんなが観るべきよ!

映画ライターのよしひろまさみちの映画レビュー

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム

「まくのうちぃシネマ」第48回目

公開前、すっかり映画とは別の話題で(おまけにちょっとネガティブな方向に)盛り上がってしまった『バービー』。ご覧になりました?  まだだったとしたら、ソッコー観てください。ピンクまみれのキャンプな世界観が好き嫌いに関わらず、これは今を生きるあたしたちみんなが観るべき映画なんですよ。

よしひろまさみちの「バービー」の映画レビュー

内容はググって。とにかくすごいのは、どんなキャラも誰もとりこぼさないこと。マーゴット・ロビーが演じているスタンダード型バービーとその持ち主の母娘の話が主軸ではあるんだけど、それだけじゃないのよ。特にケンをはじめとする男性キャラ。

バービーの添え物として生まれ、何も持たないケンが、毒性たっぷりの現実世界の男性性に触れた瞬間、雷にでも撃たれたかのような大変化。そこからバービーランドを根っこから変えるようなことをしでかしちゃうのね。

よしひろまさみちの「バービー」の映画レビュー

そこで考えていただきたいのが、「何も持たない人」「男性優位思想」「暴力」。これらをまるっとコミカルに描ききっちゃったの。こんなの観たことない。あと、忘れちゃいけねーのは、アランやヘンテコバービーなど、バービーランドのマイノリティの扱い。これも完璧としかいいようがない皮肉と笑いで真をついているの。

しかも、全キャラにある問題が、結局のところ「教育」で変えることができることを示しちゃった。ここまでゆきとどいた映画もそうそうないわよ。例の騒動ゆえに避けている方。あの騒動こそ「教育」の差が生んだことなので、『バービー』をまっさらな気持ちでご覧になって。

バービー
ストーリー/すべてが完璧なバービーランドで、バービーは恋人のケンと暮らしていた。しかし、ある日突然バービーの身体に異変が! 原因を探るために人間の世界へ行く2人。しかし、そこはバービーランドとはすべて勝手が違う現実の世界。そこでバービーはある秘密を知ることに……。
https://wwws.warnerbros.co.jp/barbie/

監督:グレタ・ガーウィグ
出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、アメリカ・フェラーラ、ケイト・マッキノン ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中

文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96