【6/13(金)公開】逃げたって、負けたっていい。でも自分らしさは失っちゃダメ。「フツー」に馴染めない最強バディの13年を描く映画「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」

LGBTQ映画を扱うゲイの映画ライターによるコラム連載

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映像作品をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第70回目

都会ってよくも悪くも人が多すぎるから他人に対して無関心。イコール、自分を隠すにはぴったり。だからこそ、都市部から遠く離れたところで生まれ育ったクローゼットなゲイやビアンの皆さんは、できる限り大きな都市に出て、心を許せる友人や恋人を見つけて自分らしく生きようとしてきたのよね。ええ、昔から。どこの国や地域でもそんな話をよく聞いてきましたし、この20年で一気に進んだダイバーシティ・インクルージョンの今の世でも、苦悩の果てに都会デビューする話はよく耳にします。

『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』は、その気持ちを理解するためには最強の友愛映画。 原作は、韓国の作家パク・サンヨンの連作小説「大都会の愛し方」の短編「ジェヒ」。自由奔放で恋愛体質なジェヒと、カミングアウトできずに一歩踏み込んだ友人を見つけられないゲイ男子のフンスが出会い、共に世間一般の「フツー」にはなじめないことをシェアして親友に。

おのおの修羅場を数々経験するんだけど、2人でいつも解決。最強のバディ関係に成長していく13年間を描いています。ソウル舞台だけど、東京で起きてることそっくりだし、どこの都市でも起きてることなのよね~。共感! 映画のタイトルが示すとおり、彼らの友情、恋愛模様は大都会でしか成立しないのよね。そして、「フツー」に馴染めないで孤独に苦悩しても、それを共有できる人が見つかるのも大都会ならでは。

ひとりで悩んだところで病むばかり。理解し合う人とのシェアによってアイデンティティって築いていけるってことを、この作品で改めて感じることができるはず。 プライドマンスに公開ってのも最強。逃げていいし、負けてもいい。けど、自分らしさを失うことこそ最悪ってことを心にとめてね。

◆『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』 6月13日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
https://loveinthebigcity.jp/
ストーリー/自由奔放でエネルギッシュなジェヒと、繊細で寡黙なフンス。正反対の二人が出会い、ある出来事をきっかけに特別な契約を結び、一緒に暮らし始める。ジェヒは世間のルールに縛られず、恋愛と夜遊びを全力で楽しみながら生きている。 一方、フンスはゲイであることを周囲に隠しながら、孤独と向き合う日々を送っていたが、ジェヒに刺激され徐々に外の世界へと踏み出していく。そして二人は互いの「自分らしさ」を励まし合い、次第にかけがえのない存在となっていった。大学を卒業し、それぞれの道に進んでも、二人の関係は変わらないはずだった。だが、社会に出た二人に人生の大きな転機が突き付けられ、大切な友情に思いがけない危機が降りかかる──。

監督: 監督:イ・オニ/出演:キム・ゴウン、ノ・サンヒョン ほか/配給:日活、KDDI
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文/よしひろまさみち X@hannysroom
イラスト/野原くろ X@nohara96

記事制作/newTOKYO

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