元カレ&元カレの今カレと3人暮らし。借りられ暮らし5ヶ月目、30代ゲイが独りを選ばなかったワケ。

ゲイの暮らしのインタビュー

ルームシェアをするゲイの中では友人関係、あるいは彼氏と別れて借家契約満期までやむを得ず住むという形が多いだろうが、都内近郊で3人暮らしを送るリョウ(仮名)さんのルームメイトは元カレのユウキさん(仮名)と、元カレの今カレであるソウタさん(仮名)だ。

なかなか珍しいケースの3人暮らしは現在5ヶ月目に突入している。しかしリョウさん自身、特段息苦しさは感じていないとのこと。聞き馴染みのない共同生活はどのように始まり、いつ終わりを迎えるのだろうか。普段の生活ぶりや3人暮らしが成立している理由も含め、リョウさんの心の内を教えてもらった。

ーー1日泊めるつもりが1週間と過ぎ、気づけば5ヶ月目。年下カップルとの3人暮らしとは。

ーー現在、リョウさんとユウキさん、ソウタさんが一緒に暮らしているとのことですが、どういった経緯で3人暮らしが始まったのですか?

元々、僕の家でユウキと住んでいて家賃や光熱費、食費、日用品費に至るまで、僕が出していたんです。10歳近く歳上ですし、一緒に住むことを提案したのは僕からだったので。その後、彼の浮気が原因で別れることになったんですけど、全ての出費を半分ずつ出すから居させて欲しいと言われ…関係は解消したものの2人暮らしは継続する形で、その場は治まったんです。それが一昨年の2月かな。

以降、僕は恋愛から距離を置いて仕事優先に過ごすようになり、ユウキはアルバイトをしながら新しい彼氏と付き合っては別れてを繰り返していました。そんな生活に大きな変化が訪れたのは去年の夏、ユウキが「泊めて欲しい」とソウタくんを連れてきた時からです。スーツケースと大きなリュックを背負ったソウタくんを目の当たりにして、「1泊2日という雰囲気ではないな…」と思ったものの門前払いするわけにも行かず、中に入れました。別れる時、お互い人は連れ込まない約束をしてたんですけど(笑)。

ゲイの同棲について話している写真

結局、1週間ほど泊まって地元へ帰ったんですけど、なぜかスーツケースが置きっぱなしで。その1週間後、追加の荷物を持ってユウキくんが戻ってきてから、今の暮らしが始まった感じですね。去年の10月から3人で暮らしているので…なんだかんだ5ヶ月目に突入しました(笑)。

ーー別れる時、ユウキさんとキッパリ関係性を断つという選択肢は無かったですか?

無かったから、こういう形になっているんだと思っています。付き合った当初、僕は30代で彼は19歳。その頃から見守る気持ちがとにかく強くて。「これでいいのか?」という思いもゼロではなかったけど、路頭に迷ったらどうしようと考えたら拒む気にはなれなかったんですよ。

正直、3人暮らしが始まる前に、よりを戻したいと言われたり、手を出されそうになったりした時はありましたよ。ただ、仕事が忙しかったことに加えてユウキが他の人と付き合っている時の出来事だったので、それはダメだよねと。ユウキの彼氏からしたら僕が浮気相手になりますし、僕と付き合っている時に他の人に同じことをしていたと思ったら、恋愛対象としてはもちろん性的対象としても一切見れなくなりました。

ーー実際、今の3人での暮らしはどのようなものなのですか?

最初は煩わしいと思うことが結構あって。仕事から帰ると2人がベッドに寝ているため、僕が床で寝る日が何日か続いたんです。「自分の家なのになぜ?」と思いベッドは譲ってもらったものの、後日二人が自分達の布団を買ってきて床で寝るというスタイルを確立し始めて。「住むの?」みたいな(笑)。

でもその頃にはもう、彼らの存在自体にイライラすることはなくなっていました。自分でもよく分からないんですけど、やっぱり見守りたいという気持ちが強いんですよね。カーテンを好きな時間に開けられなかったり、物音を立てないように生活したりすることへの窮屈な思いは抜きにして、それほどストレスは感じていません。きっと、昼夜すれ違いの生活サイクルで適切な距離感が保たれているのも影響してると思います。

家賃などは今まで通り僕とユウキが折半、家事全般をソウタくんにお願いしている感じです。ソウタくんとは…ほとんど話さないですね。2人きりの時もお互い無言で、彼の身元も職業もよく分かってません。ただ、帰宅するとパチンコの景品と思わしきお菓子がポンっと置いてあることが多いので、パチンコが好きなんだなぁぐらい。ユウキには詳しく聞きませんが、貴重品の管理などは疎かにできないので、そこだけはしっかりとラインを引いて有事が起きないよう気をつけてはいますね。でも、本当それぐらいです。

ーー元カレと元カレの今カレ…性欲は、それぞれどのように発散してるんですか?

帰るときは「帰るよ」と連絡を入れるようにしてるので部屋に入ったら…みたいなことはないんですけど、愛犬のために買ったペットカメラの電源が抜かれてたり、レンズが設定した方向の真逆を向いていたりする時があるので、2人きりの時は俺のベッドでヤってるんだろうなぁと思いますが、ムカつくとも思いません(笑)。友達との話のネタにしちゃってますね。

本人も今の生活をネタにしてもらった方が楽と話してましたし、行きつけのバーのママには「アンタ、カメラの電源抜いて何してるか知ってんだからね!」とイジられてるみたいです。普通の感覚で言えばプライドが傷ついたりするものなんでしょうけど、恥じてる感じはない様子。なので、シリアスな雰囲気が漂う共同生活ではないんですよ。

僕自身の話で言えば、家に呼ぶことは絶対出来ないので大抵は相手の家かホテルですかね。この歳になると年下と会うことも多いので、割り勘という訳にもいかず…多少出費が嵩みます(笑)。

ゲイの3人暮らしについて話す写真

ーー最後に、この3人暮らしはいつまで続き、いつ頃終わりを迎えるのでしょうか?

一応、今年6月に2人とも出ていく話にはなっているんですけど…2月、3月、4月と伸びて決まった日程なのでまだ何とも言えません。3人での暮らしは負担が大きいこともありましたが、2人が幸せそうに過ごしているのを間近で見守れていたことで、僕自身も幸せな気持ちになる瞬間があったり、孤独感を埋められたりしていることは事実なので、一方的に依存されている生活だとは思っていません。犬の面倒を見てくれていたのも、メリットに感じていましたし。

とは言え、やっぱり一人暮らしが待ち遠しいです(笑)。友達も呼びたいし、新しい彼氏も欲しいし。元彼と一緒に住んでいる人を恋愛対象として見れる人って、ほぼいないじゃないですか。なので、彼氏を迎える土台を作る上でも、2人が無事に新しい生活を迎えられるよう願っています。あ、この話で誰かの顔がフッと思い浮かんだとしても、どうか内緒にしておいてください。お願いします。

インタビュー・写真/芳賀たかし
記事制作/newTOKYO