……と、大大々的にタイトルを打っておきながらアレですが、本当はめちゃくちゃ関係大有りです。安全第一。雨風が酷い時は絶対に無理しないでください!

気を取り直して、各地でマイノリティの可視化や連帯のイベントが大きな盛り上がりを見せてきた2026年のプライドマンス。僕たちの愛おしい6月も、いよいよ今週末でフィナーレを迎えます。
しかし、よりによってこのタイミングで空気の読めない大型台風が接近中。 もちろん、安全が第一です。雨風が激しい時間帯は無理をせず、お家でぬくぬく過ごすのが大正解。だけど、もし週末のどこかで雨風がふっと引く瞬間があったなら……部屋でただゴロゴロして僕たちの1ヶ月を終わらせてしまうのは、なんだか少し寂しいと思いませんか?
そこで今回は、悪天候を最高の言い訳にして、静かな空間でどっぷりアートに溺れられる「インドアの隠れ家」を3つ厳選しました。一人で濃厚な世界に迷い込むのも、大切な誰かと静かに雨音を聴きながら歩くのも◎。
ぶっちゃけ、どれも今週末を逃すと本当に終わってしまうタイムリミット寸前のものばかり。編集者的には「もっと早く教えてよ!」という読者の皆さんの小言が聞こえそうで、本当に心苦しいのですが……だからこそ、状況を見極めつつ、行けそうなタイミングがあれば「どうか、見逃さないで」と伝えたいのです。
頑丈な傘を片手に、僕たちのカルチャーが紡いできた、優しくてタフで、最高に美しい世界へエスケープしませんか?
規制を潜り抜ける、親密でエロティックな日常
リン・チーペン aka No.223 個展「223 BY 223」

まず足を運びたいのは、銀座のシックなギャラリー。中国の現代写真界を牽引する写真家、リン・チーペン(aka No.223)による、日本では2回目となる個展です。
彼が名乗る「No.223」という名義。映画好きならピンとくる、ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』(1994年)に登場する警官の番号に由来するこの名前の背景には、性的表現への規制が今なお厳しい中国の社会状況があります。そんなひりつくような状況下で、彼がレンズを向けるのは、自身の親しい友人や身近な人々です。
切り取られたイメージは時にとてもエロティック。だけどそれは、作家にとっては狙い澄ました過激さではなく、「食べることや眠ることと同じ、愛おしい日常の一部であり、大切なこと」。
現代中国の若者たちが放つ、刹那的でどこかノスタルジックな空気感。厳しい社会の枠組みを軽やかにすり抜けるクィアな熱量が、銀座の空間に未発表作品を中心に立ち上がります。 外の湿度に負けないくらい濃密な、彼らの「親密な日常」を、静かな画廊でそっと覗き見してみませんか。
息を呑む男性の肉体美と、神聖さのイデア
稲嶺啓一 個展「幻花青年 SEINEN Phantom Lotus」

続いては、神保町のカルチャー発信地へ。写真家・稲嶺啓一氏による写真作品集『幻花青年』の出版を記念した個展です。
90年代のゲイ・カルチャーやインディペンデントな表現に触れてきた人なら、「東風終(こちしゅん)」という名義に、特別な感慨を抱くかもしれません。男性モデルに金粉を塗り、自身の審美眼で選び抜いた着物や装飾、独自のライティングによって、男の身体をまるで「神聖な芸術」へと昇華させた写真集『月の日』。あるいは、スポーツマンの一瞬の肉体の緊張を切り取った『一瞬の肖像』。
2000年以降も、ライフセーバーや全国の祭りを追いかけ、日本人の身体美を探求し続けてきた彼が、長年追い求めてきた「美」の理念を凝縮したのが本展です。
幻想的な余韻の中に朧げに浮かび上がる青年と、清廉な花々。そこには、僕たちがいつの時代も焦がれてやまない「儚さと、圧倒的な強さ」が同居しています。
注意してほしいのは、この展覧会、まさに今週末の6月28日(日)で終了ということ。初版限定300部の贅沢なハードカバー写真集も会場で販売されています。外の嵐を忘れるほどの美意識の聖域へ、安全を確保しつつ、何が何でも滑り込んで。
国境を越えて咲き誇る、自由で愛おしい百合の世界
高嶋リカ 展「米国に咲いた百合物語 YURI STORY in Bloom in America」

最後は、東中野のコミュニティスペース「platform3」へ。新宿2丁目生まれ、東京ゲイ術大学卒(!)という、プロフィールだけでも最高に愛おしく、深いシンパシーを覚えずにいられない漫画家・現代美術家、高嶋リカさんの展覧会です。
1990年代、まだ今ほど「LGBTQ+」という言葉が一般に浸透していなかった頃、日本のレズビアン・クィアカルチャーを牽引した伝説的な雑誌『フリーネ』や『アニース』。そこに連載されていた「リカって感じ!?」の貴重なマンガ原稿や、その後アメリカに渡って世界初の英訳百合マンガとなった『百合物語』の限定アーカイブが並びます。当時の貴重な雑誌を、実際に手に取って読めるというのも、胸が熱くなるポイント。
ユーモアと優しさ、そして時代も国境も軽々と飛び越えていく自由なエネルギー。彼女がニューヨークで咲かせた百合の物語は、今の時代を生きる僕たちにも「自分らしく生きていいんだ」というタフなパワーを分けてくれます。
こちらも会期は6月30日(火)までなので、週末に足を運べるのはこれが本当に最後。僕たちの先輩たちが紡いできた、優しくてタフな地続きの歴史を、ぜひその目で体感してください。
編集部より
台風の目をくぐりぬけ、静かなギャラリーで僕たちのカルチャーの歴史や「今」に深く浸る。これ以上ないくらい贅沢でクィアな、大人のプライドマンスの締めくくりだと思いませんか?
もちろん、外が荒れている時は無理をせず、ご自身の安全を最優先に。でも、もし雨風が落ち着くタイミングがあれば、お気に入りのレインコートを羽織って、そっと街へ繰り出してみてください。きっと、嵐の先に素晴らしい美の世界が待っています。
◾️リン・チーペン No.223「223 BY 223」
会期:2026年6月4日(木)~ 7月4日(土)
会場:Akio Nagasawa Gallery Ginza(中央区銀座4-9-5 銀昭ビル6F)
https://www.instagram.com/akio_nagasawa_gallery/
◾️稲嶺啓一写真展「幻花青年(ぼうかせいねん)SEINEN Phantom Lotus」
会期:2026年6月12日(金)~ 6月28日(日)
会場:KOMIYAMA TOKYO G(千代田区神田小川町3-20-4 第2龍名館ビル1F D)
https://www.instagram.com/komiyamatokyo_g/
◾️高嶋リカ展「米国に咲いた百合物語 YURI STORY in Bloom in America」
会期:2026年6月16日(火)~ 6月30日(火)
会場:platform3(中野区東中野1-56-5 ホシノビル401)
https://www.instagram.com/plat_form3/
記事制作/newTOKYO











