映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム
「まくのうちぃシネマ」第46回目
プライドマンスですが、ここは思い切ってゲイでもなければレズビアンでもなく、トランスジェンダーでもバイセクシュアルでもない、ヘテロセクシュアルの映画を。というのも、ここで描かれているのは、ジェンダーを超えて「自分に正直にいられる安全な場所とは」がテーマだから。それが最新作にて最終章の『マジック・マイク ラストダンス』がソフトリリースされたばかりの『マジック・マイク』シリーズ3部作。
そもそもこのシリーズ、主演でプロデューサーのチャニング・テイタムが駆け出しの頃に男性ストリッパーをしていた経験をもとに作られたもの。なので旧2作は、もろ「自分のルックスをフル活用して一攫千金!……ってどうなの?」という問いかけのお話。
まぁ、いっちゃー青春ですわよ。でも、最新作の『〜ラストダンス』は、これまでのテーマを総括しつつ、自分の素直な気持ちをさらけ出して楽しめる環境って、実はそんなにないんじゃない? ということを描いた傑作。
本作では主にヘテロセクシュアルの女性の気持ちを代弁していますが、よくよく考えてみるとこれってセクシュアル・マイノリティにも言えることなのよね。
都会暮らしの人たちは忘れがちだけど、みんながみんなオープンにはいられないし、オープンにしたら命の危険があるロケーションだってあるんだから。なので、このシリーズを観て、性的な解放感を実感することの難しさ、そしてその根っこにあるのは何かを問うてみるのはいかがでしょか。
■マジック・マイク ラストダンス(2023)
ストーリー/破産によって全てを失ったストリップダンサー、マイク。資産家の女性マックスの依頼を受け伝統の街・ロンドンへ。人生の再起をかけて世界中のダンサーと共にストリップダンスショーに挑む! しかし様々な思惑を持った人間たちがマイクの挑戦を阻む。果たしてマイクは最後の“マジック”を起こせるのか……?
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:チャニング・テイタム、サルマ・ハエック、ジュリエット・モタメド、ジョー・マンガニエロ ほか
販売・発売:ワーナー・ブラザース・ホーム・エンターテイメント
DVD、Blu-ray発売中、デジタル配信中/マジック・マイク(2012)、マジック・マイクXXL(2015)も発売中
文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96