中年ゲイの孤独な現実を、お若い頃に追体験しとくって大切かもよ? 映画「異人たち」。

映画ライターのよしひろまさみちが、
今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム

「まくのうちぃシネマ」第56回目

今回はゲイ主人公の映画です。ところがどっこい、この作品、原作はノンケさんのお話。大林宣彦監督が映画化したことがある山田太一の小説『異人たちとの夏』を、イギリスでリメイクした『異人たち』です。

オリジナルを知ってても知らなくてもOK(知らない人は、今作を観てからチェックするとよかです)。それよりもなによりも、観てもらいたいのは、監督したアンドリュー・ヘイの初期作『ウィークエンド』。これと地続きになっている作品なんですよ!(Amazon Prime Videoなどでレンタル視聴可)
主人公のアダムは、早くに両親を亡くしたことで、孤独を選んで生きてきた中年ゲイで脚本家。

両親との思い出をベースにした作品の執筆を思い立ち、かつての実家を訪れたら、なんとそこには在りし日の両親が! それと同時期に、同じマンションに住む青年ハリーと出会い、かたくなに閉ざしてた心をちょいと開放しはじめ……ってお話。

13年前の『ウィークエンド』では、中年ゲイと若いゲイの価値観ギャップを見事に描き出しましたが、今回は日本の伝統的幽霊ファンタジーをベースに、そういう中年ゲイのトラウマと孤独をありありと……って、そんなもん観たくねー、っていうお若い方々、いらっしゃると思うんです(ちなみにあたしと同世代の監督のおヘイも同じ苦言を申しておりました)。

ええ、ええ。わかりますよ。でも、そう言ってる方も平等に年は重ねますのよ。おほほのほ。価値観の共有、広い視野と見識を得るために、「孤独を選ぶってなに? その原因は?」ということに目を向けるきっかけになろうかと。いや、マジですげぇの一言。深掘りしまくりできる作品なので、観た人同士でラストの意味を語り合っていただきたいですわ。

2024/04/23 SEARCHLIGHT PICTURES PRESENTS VOL.9「異人たち」& 「EXTREME BROADCAST INVITE SPEKKI WEBU / OCCA」

ーーよしひろまさみちさんが本作について、た〜っぷりと魅力を語っている動画はこちらからチェック。

■異人たち
監督:アンドリュー・ヘイ
出演:アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、ジェイミー・ベル、クレア・フォイ ほか
公開:現在、全国ロードショー中
あらすじはこちらから

文/よしひろまさみち X@hannysroom
イラスト/野原くろ X@nohara96
記事制作/newTOKYO

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